会津乾繭販売利用組合 各乾繭所絵はがき

企業系
川桁乾繭取扱所 高田乾繭取扱所

【概要】

会津地方の乾繭(かんけん)販売利用組合の乾繭所の落成記念絵葉書です。包紙内部に5枚あります。

乾繭とは製糸業の工程の一つで、蚕がサナギになる途中に作った繭を乾燥させたものです。本来は繭を煮て生糸を取り出しますが、繭を乾燥させることで長期的な貯蔵や大量保存を可能にしました。それが乾繭です。

こうした性質を持ったため、乾繭はその加工先の生糸や他の商品と同じく相場が形成され、ときに価格が乱高下することもあったようです。そのため生産者たちは自前で乾繭を融通する組織として産業組合を結成し、安定や利益追求を図ります。この辺りは以前紹介した全購聯の肥料・飼料工場と似た構造を持ちます。

この絵葉書では会津地方の会津若松・喜多方・坂下・宮下・野沢・川桁・高田の7ヶ所の乾繭所が紹介されています。各乾繭所の地名を地図で見ると会津盆地にバランスよく配置されています。地域全域で養蚕業に取り組まれていたことが想像されます。

令和3(2021)年度における福島県の養蚕業者は、統計資料によると16軒とわずかになったそうです。

【内容】

若松乾繭取扱所/若松乾繭所全景/川桁乾繭取扱所 高田乾繭取扱所/宮下乾繭取扱所 野沢乾繭取扱所/喜多方取扱所 坂下乾繭取扱所

【撮影・作成年代】大正7(1918)年~昭和8(1933)年

通信欄の罫線が宛名面の2分の1の位置にある点、右から「郵便はかき」の表記から判断。

【作成者】有限責任会津乾繭販売利用組合

【状態】

当該期の一般的な絵葉書よりも硬めの紙質です。また活版印刷で説明キャプションを印字しています。この辺り観光絵葉書とちょっと雰囲気が異なっており渋くてかっこいいです。養蚕業は紙が重要な役割を果たしますから、絵葉書の紙質にもこだわりがあったのかも知れません。

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